直射日光と暴風と。

207万人の天才。風とロックフェス福島
長いのでたたむ。


日曜日、福島へこのフェスを見に行ってきた。仙台から郡山までは高速バスで2時間。近い。なんだこれ。いつも高速バスといえば東京までの5時間だから、ざっと半分でついてしまうという。ゲートをくぐってもフェスおなじみのリストバンドは無く、出入りの際には半券を表示するとの事。これは新鮮だけどめんどい。けどそういうのも含めて東北っぽくて和む。午前中はとにかく日差しとの戦いで、怒髪天のときなんて、ステージ上も熱ければ後頭部も暑いという大騒ぎだった。あのラインナップで結構なベテランの怒髪天がトップバッターっていうのも不思議だけど、トップバッターに相応しい盛り上げをやってくれて大満足。ちなみにこの頃はまだ客席もゆとりがあって、なんだかのんびりしたフェスだという印象。今回の出演者のほとんどが、福島出身者がバンドのメンバーの中にいる人たちだったのだけども、なぜ怒髪天が出たのかと思えば、増子さんがどうやら福島ローカルで音楽番組を持っているそうで。なぜ福島で。謎は残る一方だった。



今回参加しようと思ったのは、怒髪天ソウルセットが出演するからという理由だったのだけども、今まで生で見たことが無かった堂島孝平くんとか、サンボマスターも楽しみの一つだった。そしてそのいずれもが大満足だった。堂島君のキラキラポップっぷりにすっかりワクワクし、サンボの熱さや優しさに何度目頭を熱くしたことか。本当に本当に「悲しみで花が咲くものか」というフレーズは素晴らしいと思った。ああ今思い出しても熱いものが。サンボといえば、山口さんと箭内さんの「ままどうるズ」もとっても素敵だった。福島大嫌いの歌とか、もう自分、福島県民じゃないっすけど泣きそうになったっす。口調も変わるってもんだ。東京と地元についてちょっと前に考えたりした時期もあったので、なんだかとても感慨深いものがあった。結局みんな東京へ行っちゃうんだよな。東京にいるからこその郷土愛なんだろうな。住んでる人にとっては日常すぎて改めて特別に考えたりしないもの。



脱線してしまった。話をフェスに戻すと、夕暮れから夜にかかる時間帯で野外で見るソウルセットのカッコ良さは、ライブハウスで見るそれとはまた別の、それはそれは震えるほどのカッコ良さだった。ビッケが酔っ払って派手に転んでしまい今日は右半分と左半分の顔が全然違います…と言っていたのが印象的だった。派手に転んだんだね。ゲストでハルカリが登場して、今夜はブギーバックを歌い踊り颯爽と去っていったり、ライブではおなじみのsomedayやmore big partyなどなど、客席を熱狂させる最高のパフォーマンスを見せてくれたので大満足。だったけど、これが呼び水となってワンマンライブをものすごく見たくなるという厄介な後遺症が残ってしまった。年末、いくか。どうするか。



このフェス、時間が押しに押して最終的にはエンディングでまさかの出演者全員客席に大集合。マイクも使わずにWe are the福島を熱唱し客席をぐるぐる回る回る。なんだかわからないうちに終了。バスの時間もあったので早々に会場を後にしたのだった。なんだったんだ、あの終わりは。その辺のぐずぐずんなっちゃう感じも、キメきれない東北っていう感じがして嫌いじゃなかった。ちなみにビッケはエンディングでは顔に冷えピタ貼って痛々しさ倍増だった。あれ相当痛いんだな。



ちなみについでに、メインステージの他に、ゲートの外には「ギター道場」という小さいステージが併設されていたのだけども、そこも中々のものだった。増子さんの酔っ払い授業では、「不戦勝」の大切さを学び、いわき兄(fromいわき兄弟)では、まさかのあんちゃんソロによるいわき兄弟の全曲披露。こんな贅沢な事があっていいのだろうか。間違ってもグループ魂のライブなんかではありえない身近さと平和さで堪能させて頂いた。今回参加して色々な発見をしたのだけども、中でも富沢タクa.k.a.遅刻の曲の良さ、歌声の良さが一番だった。ああ、こういうのやりたいんだねっていう。以前何かのインタビューで破壊が「デモテープでは遅刻が歌ってるんだけど、それが凄い良いのでそのまま出しちゃえばいいのにって思う」と言ってたけど納得。Number theのCDとか買いそうになったもの。買ってないけど。どうやら12月にツアーで福島のクラブにも来るそうなので、福島の人は行ってみたらいい。それと名前しか知らなくて勝手に自分のなかで「こんな感じだろうな」っていうイメージを作っていたTHE BACK HORNが、思いのほかよくてびっくりした。フェスではこういう出会いがあるのが素敵。



音楽に関係ない事で言えば、夜ご飯として食べたソースカツ丼のカツが、まるっと1枚ご飯に乗っかっていたので、思いがけずワイルドにカツにかぶりつくという経験をしたことが印象深かった。おいしかったけど。でっかいカツにかぶりつく30歳です、どうぞよろしく。という事で、なんだか不思議と楽しかったフェスの思い出という事でひとつ。