エロスの果て

2001年に上演された大人計画の本公演であり、数ある松尾作品の中でも名作との呼び名の高いこの作品。この中で宮崎吐夢さんはほんの一瞬、お馴染みの女装で出演しております。その一瞬のインパクトの強さは、アクの強いほかのキャラクターとは明らかに一線を画しておりました。ツィギーを連想させる派手なミニスカートのワンピースにカラータイツ、ヒールの高い靴に巨大なウィッグ。その姿は最早ツィギーというよりも小森のおばちゃまです。おばおばおばおばおばちゃまはね。
そしてそんな姿で現れたかと思うとオカマの人生を切々と、そして清清しく歌うのです。歌ったかと思うと疾風のように去っていく。たったそれだけなのです。たったそれだけなのにあのインパクト、いやむしろ「たったそれだけ」だからこそのあのインパクト。ある意味ずるいです、完璧に持っていっちゃう訳ですから。
ストーリー上その後は自分を偽りサラリーマンとして人生を歩んでいくので吐夢さんのおばちゃまスタイルを見る事は出来ないのが残念でなりません。もしも大人計画さんが何かの再演をお考えの時は、是非ともこの「エロスの果て」を再演して頂きたいと強く望むのです。